第3節 国税と被担保債権との調整(第15条―第22条)/国税徴収法


(昭和三十四年四月二十日法律第147号)

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最終改正:平成一五年五月三〇日法律第54号


  国税徴収法(明治三十年法律第21号)の全部を改正する。


    第3節 国税と被担保債権との調整

(法定納期限等以前に設定された質権の優先)
第15条  納税者がその財産上に質権を設定している場合において、その質権が国税の法定納期限(次の各号に掲げる国税については、当該各号に定める日とし、当該国税に係る附帯税及び滞納処分費については、その徴収の基因となつた国税に係る当該各号に定める日とする。以下「法定納期限等」という。)以前に設定されているものであるときは、その国税は、その換価代金につき、その質権により担保される債権に次いで徴収する。
 法定納期限後にその納付すべき額が確定した国税(過怠税を含む。) その更正通知書若しくは決定通知書又は納税告知書を発した日(申告納税方式による国税で申告により確定したものについては、その申告があつた日)
 法定納期限前に国税通則法第38条第1項(繰上請求)の規定による請求(以下「繰上請求」という。)がされた国税 当該請求に係る期限
 第二期分の所得税(所得税法第104条第1項(予定納税額の納付)(同法第166条(非居住者に対する準用)において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定により同項に規定する第二期において納付すべき所得税をいい、同法第115条(出国をする場合の予定納税額の納期限の特例)(同法第166条において準用する場合を含む。)の規定により納付すべき所得税で同法第104条第1項に規定する第一期において納付すべき所得税の納期限後に納付すべきものを含む。) 当該第一期において納付すべき所得税の納期限
 相続税法第35条第2項(申告書の提出期限前の決定等)の規定による更正又は決定により納付すべき税額が確定した相続税又は贈与税 その更正通知書又は決定通知書を発した日
四の二  地価税(国税通則法第2条第7号(定義)に規定する法定申告期限(以下この号において「法定申告期限」という。)までに納付するもの及び第1号に掲げるものを除く。) その更正通知書又は決定通知書を発した日(申告により確定したものについては、その申告があつた日(その日が当該地価税の法定申告期限前である場合には、当該法定申告期限))
 再評価税で確定した税額を二以上の納期において納付するもののうち最初の納期後の納期において納付する再評価税 その再評価税の最初の納期限
五の二  国税通則法第15条第3項第2号、第3号及び第5号(源泉徴収による国税等)に掲げる国税(法定納期限以前に納付されたものを除く。) その納税告知書を発した日(納税の告知を受けることなく法定納期限後に納付された国税については、その納付があつた日)
 第24条第2項(譲渡担保権者の物的納税責任)又は第159条第3項(保全差押の金額の通知)(国税通則法第38条第4項(繰上保全差押)において準用する場合を含む。)の規定により告知し、又は通知した金額の国税 これらの規定による告知書又は通知書を発した日
 相続人(包括受遺者を含む。以下同じ。)の固有の財産から徴収する被相続人(包括遺贈者を含む。以下同じ。)の国税及び相続財産から徴収する相続人の固有の国税(相続(包括遺贈を含む。以下同じ。)があつた日前にその納付すべき税額が確定したもの(国税通則法第15条第3項第2号、第3号及び第5号に掲げる国税については、その日前に納税告知書を発したもの。以下次号及び第9号において同じ。)に限る。) その相続があつた日
 合併により消滅した法人(以下「被合併法人」という。)に属していた財産から徴収する合併後存続する法人又は当該合併に係る他の被合併法人の固有の国税及び合併後存続する法人の固有の財産から徴収する被合併法人の国税(合併のあつた日前にその納付すべき税額が確定したものに限る。)その合併のあつた日
 分割により営業を承継した法人(以下この号において「分割承継法人」という。)の当該分割をした法人から承継した財産(以下この号において「承継財産」という。)から徴収する分割承継法人の固有の国税、分割承継法人の固有の財産から徴収する分割承継法人の国税通則法第9条の2(法人の分割に係る連帯納付の責任)に規定する連帯納付の責任(以下この号において「連帯納付責任」という。)に係る国税及び分割承継法人の承継財産から徴収する分割承継法人の連帯納付責任に係る当該分割に係る他の分割をした法人の国税(分割のあつた日前にその納付すべき税額が確定したものに限る。) その分割のあつた日
 第二次納税義務者又は保証人として納付すべき国税 第32条第1項(第二次納税義務者に対する納付通知)又は国税通則法第52条第2項(保証人に対する納付通知)の納付通知書を発した日
 前項の規定は、登記(登録を含む。以下同じ。)をすることができる質権以外の質権については、その質権者が、強制換価手続において、その執行機関に対し、その設定の事実を証明した場合に限り適用する。この場合において、有価証券を目的とする質権以外の質権については、その証明は、次に掲げる書類によつてしなければならない。
 公正証書
 登記所又は公証人役場において日付のある印章が押されている私署証書
 郵便法(昭和二十二年法律第165号)第63条(内容証明)の規定により内容証明を受けた証書
 民法施行法(明治三十一年法律第11号)第7条第1項(公証人法の規定の準用)において準用する公証人法(明治四十一年法律第53号)第62条ノ七第4項(書面の交付による情報の提供)の規定により交付を受けた書面
 前項各号の規定により証明された質権は、第1項の規定の適用については、民法施行法第5条(確定日付がある証書)の規定により確定日付があるものとされた日に設定されたものとみなす。
 第1項の質権を有する者は、第2項の証明をしなかつたため国税におくれる金額の範囲内においては、第1項の規定により国税に優先する後順位の質権者に対して優先権を行うことができない。

(法定納期限等以前に設定された抵当権の優先)
第16条  納税者が国税の法定納期限等以前にその財産上に抵当権を設定しているときは、その国税は、その換価代金につき、その抵当権により担保される債権に次いで徴収する。

(譲受前に設定された質権又は抵当権の優先)
第17条  納税者が質権又は抵当権の設定されている財産を譲り受けたときは、国税は、その換価代金につき、その質権又は抵当権により担保される債権に次いで徴収する。
 前項の規定は、登記をすることができる質権以外の質権については、その質権者が、強制換価手続において、その執行機関に対し、同項の譲受前にその質権が設定されている事実を証明した場合に限り適用する。この場合においては、第15条第2項後段及び第3項(優先質権の証明)の規定を準用する。

(質権及び抵当権の優先額の限度等)
第18条  前3条の規定に基き国税に先だつ質権又は抵当権により担保される債権の元本の金額は、その質権者又は抵当権者がその国税に係る差押又は交付要求の通知を受けた時における債権額を限度とする。ただし、その国税に優先する他の債権を有する者の権利を害することとなるときは、この限りでない。
 質権又は抵当権により担保される債権額又は極度額を増加する登記がされた場合には、その登記がされた時において、その増加した債権額又は極度額につき新たに質権又は抵当権が設定されたものとみなして、前3条の規定を適用する。

(不動産保存の先取特権等の優先)
第19条  次に掲げる先取特権が納税者の財産上にあるときは、国税は、その換価代金につき、その先取特権により担保される債権に次いで徴収する。
 不動産保存の先取特権
 不動産工事の先取特権
 立木の先取特権に関する法律(明治四十三年法律第56号)第1項(立木の先取特権)の先取特権
 商法(明治三十二年法律第48号)第810条(救助者の先取特権)若しくは第842条(船舶債権者の先取特権)、国際海上物品運送法(昭和三十二年法律第172号)第19条(船舶先取特権)、船舶の所有者等の責任の制限に関する法律(昭和五十年法律第94号)第95条第1項(船舶先取特権)又は油濁損害賠償保障法(昭和五十年法律第95号)第40条第1項(船舶先取特権)の先取特権
 国税に優先する債権のため又は国税のために動産を保存した者の先取特権
 前項第3号から第5号まで(同項第3号に掲げる先取特権で登記をしたものを除く。)の規定は、その先取特権者が、強制換価手続において、その執行機関に対しその先取特権がある事実を証明した場合に限り適用する。

(法定納期限等以前にある不動産賃貸の先取特権等の優先)
第20条  次に掲げる先取特権が納税者の財産上に国税の法定納期限等以前からあるとき、又は納税者がその先取特権のある財産を譲り受けたときは、その国税は、その換価代金につき、その先取特権により担保される債権に次いで徴収する。
 不動産賃貸の先取特権その他質権と同一の順位又はこれらに優先する順位の動産に関する特別の先取特権(前条第1項第3号から第5号までに掲げる先取特権を除く。)
 不動産売買の先取特権
 借地借家法(平成三年法律第90号)第12条(借地権設定者の先取特権)、罹災都市借地借家臨時処理法(昭和二十一年法律第13号)第8条(賃貸人等の先取特権)又は接収不動産に関する借地借家臨時処理法(昭和三十一年法律第138号)第7条(賃貸人等の先取特権)に規定する先取特権
 登記をした一般の先取特権
 前条第2項の規定は、前項第1号に掲げる先取特権について準用する。

(留置権の優先)
第21条  留置権が納税者の財産上にある場合において、その財産を滞納処分により換価したときは、その国税は、その換価代金につき、その留置権により担保されていた債権に次いで徴収する。この場合において、その債権は、質権、抵当権、先取特権又は第23条第1項(法定納期限等以前にされた仮登記により担保される債権の優先)に規定する担保のための仮登記により担保される債権に先立つて配当するものとする。
 前項の規定は、その留置権者が、滞納処分の手続において、その行政機関等に対し、その留置権がある事実を証明した場合に限り適用する。

(担保権付財産が譲渡された場合の国税の徴収)
第22条  納税者が他に国税に充てるべき十分な財産がない場合において、その者がその国税の法定納期限等後に登記した質権又は抵当権を設定した財産を譲渡したときは、納税者の財産につき滞納処分を執行してもなおその国税に不足すると認められるときに限り、その国税は、その質権者又は抵当権者から、これらの者がその譲渡に係る財産の強制換価手続において、その質権又は抵当権によつて担保される債権につき配当を受けるべき金額のうちから徴収することができる。
 前項の規定により徴収することができる金額は、第1号に掲げる金額から第2号に掲げる金額を控除した額をこえることができない。
 前項の譲渡に係る財産の換価代金から同項に規定する債権が配当を受けるべき金額
 前号の財産を納税者の財産とみなし、その財産の換価代金につき前項の国税の交付要求があつたものとした場合に同項の債権が配当を受けるべき金額
 税務署長は、第1項の規定により国税を徴収するため、同項の質権者又は抵当権者に代位してその質権又は抵当権を実行することができる。
 税務署長は、第1項の規定により国税を徴収しようとするときは、その旨を質権者又は抵当権者に通知しなければならない。
 税務署長は、第1項の譲渡に係る財産につき強制換価手続が行われた場合には、同項の規定により徴収することができる金額の国税につき、執行機関に対し、交付要求をすることができる。

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